【前屈とハムストリングス①ゆるゆる伸ばす~理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.5~】
こんにちは。
体と心をつなぐヨガセラピスト×理学療法士の洋です。
淡路島でフェニックス・ライジング・ヨガセラピーの個人セッション(オンライン)やクリパルヨガクラス(対面・オンライン)を通して、体と心をつないで本当の私で生きていくことをサポートしています。
このヨガ解剖学では、ヨガに役立つ解剖学などの知識を理学療法士+ヨガ教師の視点で紹介しています。
専門家向けではなく、体についてこれまであまり勉強したことがない方向けのコラムです。
このコラムを読んで、体に興味が湧いたり、体を感じとるサポートになったら嬉しいです。
さてさて~(^^♪
ハムストリングスを感じるヨガポーズとは?
の続きです。
ハムストリングスとは、もも裏の筋肉3つのことでしたね。
ところで…
あなたがヨガをして、一番ハムストリングスに向きあうのは、どんな時ですか?
私は、迷わず前屈の時です!!!
前屈とハムストリングスは切っても切り離せない関係のように、私は思います。
今日は、そんな前屈を紐解きます。
前屈とハムストリングス
ハムストリングスはなにしてるの?
ハムストリングスには4つの働きがありました。
詳しくはこちら。
<ハムストリングスの働き>
1.膝関節屈曲 →前々回にお話しズミ
2.股関節伸展(骨盤後傾) →ズミ
3.内外旋 →ズミ
4.矢状面内での骨盤の安定
この中で4.矢状面内での骨盤の安定、はまだお話していませんね~。
今日は、ここからです。ワクワク
ハムストリングスの働き4:矢状面内での骨盤の安定
矢状面とは、身体を前から後ろに通り、左右に2分する垂直面のことです。
学生の頃に、「矢を正面から受ける」、それが矢状軸であり、矢状面、と教わった気がします。
立位で前屈する様子を、ここでは簡単に、上半身と下半身が股関節でつながっている風に表します。
〇が白と黒で塗られているものは、股関節から上の上半身の質量中心、つまり重心位置を表してます。
静止立位では、股関節から上の重心位置は、ほぼほぼ股関節の上にあります。(人によって多少前後にズレます)
でも、前屈をしていくと、重心位置は前方に移動します。
すると、重心と股関節との距離dが大きくなっていきます。
身体運動の多くは、てこの原理によって成り立っています。
この場合、股関節中心が支点、上半身の重心位置からの垂直線上に作用点、ハムストリングスが付着する坐骨結節が力点です。
回転させる力(モーメント)=支点からの距離×重さ
前屈の場合、重さにあたる「上半身の重さ」は変わりません。
でも、股関節から上半身重心までの距離は変わります。
すると、ハムストリングスはこれに見合う大きさの力を発揮して、バランスを取ります。
前屈の時のハムストリングスは、骨盤の過剰な前傾を防いだり、ゆっくり骨盤が安定して動けるように骨盤の前傾をコントロールしていたのです!
前屈で力を抜ききれない、伸びきれないハムストリングスは、実はお仕事をしていたんです。
私も前屈は苦手な方なので、前屈する時は「ハム伸びて~緩んで~」と念じる時があります。(笑)
でも、ハムストリングスとしては自分の役割を全うしてただけなんですね。
ハムストリングスは、なにも意地悪して伸びないわけではなかったんですね。
な~んだ、そうだったんだ、それならハム君ありがとう(*^-^*)という気になりますよね。(私はなりました)
でもアタシ、前屈を深めたいの!だってヨギーだから!という熱い気持ちも、とてもよくわかります。
ハムストリングスをゆるゆる伸ばすためには?
やっぱりここに興味が湧きますよね。
<考えてみてね>あなたが、ほわ~と緩む時はどんな時ですか?複数あげてね。
コレ、是非考えて下さい。
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ハイ!では、みていきま~す♪
私が緩むとき、その1:あったかい時。
そう、寒かったら体も縮こまって筋肉も緩んでいけませんね~。
その2:安定してる時。
サーカスのロープの上を渡っているような時は、物理的に体が不安定でぐらぐらして、体も緩めませんね。
その3:安全な時。
体も心もそうですが、意に反して無理やり何かをされそうになると、すごく抵抗して力が入りますね。緩むことはできませぬ~。ムムム。
その4:安心してる時。
その1~3が満たされている時は、体も心も安心して、ほわ~と緩んでいきますね。
名付けて、4つの「あ」!(気づきのプロセスの3A:Awareness,Acceptance,Adiustmentをマネてみたけど、かっこよくない)
ですから、前屈する時にも、まず緩んでいきやすい環境設定をしてあげましょう!
前屈入る前に、室温をある程度温かくして、ウォーミングアップして、体を温めておくといいですね。ヌクヌク
そして、いざ前屈に入る時は、立位では、土台となる足裏を、しっかり床とつなげながら行ったり。どっしり
後方に壁がある状態で骨盤も壁に押し当てて、下半身をより安定させたり。
前にブロックをおいても良いですね~。
坐位で行う場合は、体の柔軟性に合わせて、坐骨の下にブランケットをしいて、骨盤を起こしやすくしたり。フムフム
膝が曲がるようであれば、膝下にブランケットやクッションを入れて、足の置き場を作るのもいいです。
前屈した時に、クッションやボルスターを上半身の下において、上半身の重さを受ける場所を作ってあげたり。受けとめルン♡
大きく開脚すると、前方のボルスターに上半身を預けやすくもなります。
要は、体は自力で支えようとすれば、どこかしら力むので、それを物理的にサポートして、緩めるやすくしてあげるんです。
そして、前屈する時は、無理やり深めてやる~!という鬼の関わり方では、体は緊張しますから。
無理やり伸ばせば、筋肉は危険と察知して、防御性収縮を起こします。
防御性収縮とは、筋肉が反射的に収縮することです。
一方的に、体をコントロールしようとするのではなく、体とコミュニケートしながらすることも大切ですね。
「どう?まだいける?このまま少し保ってみよか。うん、少し力抜けてきたかも。今はどう?」みたいに。
そうやって、体が緩んでいきやすいように、色んな点から体に歩み寄っていくと、体は安心していきますよ~。
体との信頼関係を深めるために、前屈はすごくオススメしたいポーズです(^^♪
前屈が嫌いな人ほど、練習していくと、変化を感じることもできますよ。
そして、ハムストリングスを緩めるちょっとした理学療法士からの小技を、明日5月23日(日)洋の公式LINEで紹介しま~す♪
小技ばっかりに走って欲しくないので、公式LINEでひっそりお伝えします。
ここまでは、ハムストリングスを単独の筋肉として捉えて、前屈を紐解いてきました。
次回は、少し違った視点から、前屈とハムストリングスをみてみます。
それは、筋膜という捉え方です。
浅層バックライン!これが、前屈には大いに関わってます(^^♪
楽しみにしていてね~!
まとめ
前屈をハムストリングスから紐解きました。
ハムストリングスの働きとして、矢状面内での骨盤の安定に果たす役割をお話しました。
前屈の時にはハムストリングスは、骨盤の過剰な前傾を防いで、バランスをとる働きをしていました。
後半では、ハムストリングスを緩めるための工夫をお伝えしました。
あとがき
今日もここまでお読み頂き、ありがとうございました~。
いやいや、伝えたいことを文章で説明する、てホントに難しいですね。
前屈は、私自身も長年苦手なポーズですが、繰り返し練習していると、違った感覚も出てきて、面白さも感じているポーズなんです。
このコラムを読んで、前屈を嫌いだと思っていた方が、興味を持って練習してみるきっかけになったら嬉しいです。
そして、ハムストリングスを緩めるちょっとした理学療法士からの小技を、明日5月23日(日)公式LINEで紹介しま~す♪
<募集中>
ヨガ解剖学では、今後扱ってほしい内容を募集しています。お答えできない場合もあるかもしれませんが、できる範囲で回答していこうと思います。気になっている解剖学のことなどあったら、教えてもらえたら嬉しいです。お待ちしています^^
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<参考文献>
(1) I.A.KAPANDJI、カパンディ関節の生理学Ⅱ下肢、医歯薬出版株式会社、1998年、p44~45
(2)中村隆一 他、基礎運動学第4版、医歯薬出版株式会社、1998年、p30~33
(3)Michawl Schunke 他、プロメテウス解剖学アトラス 解放学総論/運動器系、医学書院、2009年、p430~431
(4)Myofascial Meridians 他、アナトミー・トレインー徒手運動療法のための筋筋膜経線、医学書院、2009、p3~68
洋のヨガクラスは、現在(2021年5月)対面でのセミプライベートレッスンとオンラインでのレッスンをしています。
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