【身体の基本面と基本軸、動きの呼び方】~理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.8~
こんにちは~。
体と心をつなぐヨガセラピスト×理学療法士の洋です。
淡路島でフェニックス・ライジング・ヨガセラピー(PRYT)の個人セッション(オンライン)やクリパルヨガクラス(対面・オンライン)を行っています。ヨガセラピーやヨガを通して体と心をつないで、本当の私で生きていくことをサポートしています。
このヨガ解剖学では、ヨガに役立つ解剖学などの知識を理学療法士×ヨガ教師の視点で紹介しています。
専門家向けではなく、体についてこれまであまり勉強したことがない方向けのコラムです。
このコラムを読んで、体に興味が湧いたり、体を感じとるサポートになったら嬉しいです。
さてさて(^^♪
前回、股関節の構造という投稿をしましたけど、そもそも関節の形の種類て色々あって、面白いんです~。
形変われば、動きも変わる。
他の関節の形に近々フォーカスして語りたいな~と思うけど。
今日は、その前に!!!
体のことを語る時に、よく使われる基本面と軸、動きの呼び方について、紹介します。
これは、基本となる概念、言葉だから、是非おさえておいて欲しいところだよ~(*^-^*)
身体の基本面
・矢状面(しじょうめん):身体の前から後ろに通り、左右にわける面。
・前額面:身体を前後にわける面。
・水平面:身体を上下にわける面。
多くの関節運動は、3つの基本面に垂直な運動軸で、起きています。
例えば、矢状面に対して垂直な運動軸は前額軸で、前額軸周りにおきる動きは、屈曲/伸展です。
(イラストには、水平面に対して垂直な垂直軸は、書いてません。)
関節運動の呼び名
3つの運動軸で起きる動きには、決まった呼び名があります。
運動面 | 運動軸 | 運動の呼び方 | 動き方 |
矢状面 | 前額軸 | 屈曲 | 関節を曲げる動き |
伸展 | 関節を伸ばす動き | ||
前額面 | 矢状軸 | 外転 | 体から離れる動き |
内転 | 体に向かう動き | ||
水平面 | 垂直軸 | 外旋 | 各部の前面を外方に回転する動き |
内旋 | 内方に回転する動き |
イメージわくかなぁ?
私は、「矢状面の動き=屈曲・伸展」のように面と動きを組み合わせて覚えていったかな。
今日はそれぞれの関節の形は紹介しないけど、関節の軸と動きは、具体的の方がわかりやすいと思うから、実際にみていきま~す。
<考えてみてね>次の関節は、いくつの運動軸があって、どんな動かし方ができるかな?
①指の関節 ②股関節
①指の関節は、ココのことだよ。
この部分の動きは・・・屈曲・伸展しかできないよね。
だから、1軸だね。
ちなみに、指の関節は、蝶番関節といって、模式的にはこんな形をしてるよ。
②股関節
股関節は、前回の股関節の構造で出てきた臼状関節だね。
こんな形をしてました。
股関節は骨頭が球だから、運動面、運動軸とも多数ある多軸関節なんだ。
でも、まとめると、イラストの赤い線のように3つの軸を持って、屈曲/伸展、内転/外転、外旋/内旋と、全ての運動ができる関節なんです。
関節にはそれぞれ特徴的な形があって、関節ごとに運動軸の数が違って、動かせる動きも違うというのが、なんとなくつかめたかしら?
他の体の関節も、いくつの軸を持って、どんな動きができるのか、考えてみてね~。
でも実際は。
人間の動きは3次元だから、色んな動きが組み合わさって起きてます。
色んな動きを考えてみよう
じゃぁ、人間の動きを、色々考えてみよう!
立ち上がり
立ち上がりは、主に矢状面での動き、つまり屈伸を多く伴った動きです。
膝に注目すると、(座)屈曲位→(立ち上がり中)伸展運動→(立)伸展位
これは、とても分かりやすい。
手で顔を触る時の肩の動き
いきなり難しくなった。(笑)
まっすぐ体の横に腕を下ろしたポジションから
だんだん腕が上がってきて
手が顔に触れる。ピタ
ここでは、肩の動きに注目してね。
屈曲は?起きてるよね。
肘が体から離れていくよね。
これは…そう!肩の外転だね。
じゃぁ、回旋は?
う~ん…
反対側の手で肘の内側にある骨(写真の黄色の〇あたり)を触りながら、やってみて。
そしたら、肘の内側はどういう風に動いていくかな?
・・・
手を下ろしてる時は後ろの方を向いてた肘の内側が、手が上がってくると完全に内側に向いてくるよね。
ということは?外旋が起きてる!
肩が屈曲する時は、外旋を伴うんです~。
まとめると、手で顔を触る時の肩の動きは、屈曲・外転・外旋の動きが組み合わさってできる動きなんだね。
じゃぁ、この中で例えば外旋の動きが何らかの理由で制限されていたら?
手で顔は触れなくなっちゃうのかな?
触れなくなっちゃうかもしれないし、肩関節以外の例えば、肩甲骨の動きや背骨の動きで代償して、触れてしまうかもしれません。
そういう、代償動作や関節の細かな動きや筋力とかを評価して、分析して、治療していくのが、理学療法だったりします。てへ
あ、話がそれちゃった。
こんな風に、人体の動きは3次元で色んな動きが組み合わさってできてまーす。
じゃぁ、最後に、ヨガのアーサナで一つ考えてみよう!
三角のポーズの後ろ側の股関節
三角のポーズに入る時、後ろ足はつま先を少し内向きにして、足をつきます。(これがスタートのポジション)
この状態では、後ろ足の股関節は外転位だね。
そこから、肩の高さで両手横に開いて、横へ手をスライドさせて、ある程度で手を上下にひらいていきます。
ある程度で手を上下に開いていくところ、この時、脚は動いてないように見えるけど、骨盤が傾いていくね。
ということは、骨盤が動くことで、股関節のポジションは変わっていってます!
後ろ足の股関節は、外転位→内転運動が起きてます。
この時、後ろ足側の骨盤がだんだん前に出てきてしまったこと、ありません?
骨盤が回旋してしまう感じ。
それに伴って、後ろ足の股関節も一緒に内旋してきちゃうことがあるから、これを止めるためには、股関節には外旋の力が働いています。
大きく外旋方向に関節が動くわけじゃないけど、骨盤に引っ張られて内旋に持っていかれる(黄色の矢印)のを防ぐために、外旋筋が働いてます。
…
ちょっと難しかったかな?
人体は3次元で動いてます、だから一つの動きの中にも、色んな関節の色んな動きが絡んでいるんですね~。
気づかないようなところで、体は常に微調節をしているんです。
まとめ
身体の話をする時に使う共通の概念として、基本面と基本軸、動きの呼び方を解説しました。
人間の動きは3次元で行われているので、一つの動きの中にも、色んな関節の色んな動きが含まれていました。
立ち上がりや手で顔を振れる動き、ヨガのポーズとして三角のポーズで関節の動きを考えてみました。
あとがき
今日も、ここまでお読み頂きありがとうございました~!
今日お話しした基本面や基本軸、動きの呼び方は、ただ暗記するだけのもの、と捉えてしまうとつまらなくなってしまいます。
普段、自分で体を動かす時に、どの動きの要素が私は好きか、今日はどうなのか、なども案外日によって違ったり、特徴があったりします。
また、ヨガ教師であればシークエンスを考える時に、どの面の動きが多くなっているか?バランスよく各動きの要素を含んだシークエンスになっているか、など意識してみると面白いかもしれません。
活用してみて下さいね~♪
<募集中>
ヨガ解剖学では、今後扱ってほしい内容を募集しています。お答えできない場合もあるかもしれませんが、できる範囲で回答していこうと思います。気になっている解剖学のことなどあったら、教えてもらえたら嬉しいです。お待ちしています^^
<参考文献>
(1) 越智淳三 訳、解剖学アトラス 第3版、文光堂、1998年、p2~3
(2)Michawl Schunke 他、プロメテウス解剖学アトラス 解放学総論/運動器系、医学書院、2009年、p24~25
(3)中村隆一 他、基礎運動学第4版、医歯薬出版株式会社、1998年、p19~20
(4)奈良勲 監修、運動療法学総論、医学書院、2003年、p30~31
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今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
体と心をつなぐヨガセラピスト×理学療法士 洋
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