【逆腹式呼吸とは?】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.22

【逆腹式呼吸とは?】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.22

https://iwahashiyoko.com/wp-content/uploads/2021/04/IMG_2586-300x300.jpg

こんにちは~。
体と心をつなぐヨガセラピスト×理学療法士の洋です。

淡路島でクリパルヨガクラスと
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーをしています。

 

このヨガ解剖学では
ヨガに役立つ豆知識を
理学療法士×ヨガ教師の視点で紹介しています。

 

専門家向けではなく
普通の方向けのコラムです。

 

さてさて~(^^♪

 

数回かけて呼吸について紹介しています。
【腹式呼吸とは?】
【胸式とは?】
【ヨガの呼吸法とは?】

 

呼吸の王道ネタから入って
段々マイナーネタへ
そして今日はなんと!

 

「逆腹式呼吸とは?」

 

キターーー怪しいネタ。(笑)
はい、私こういう王道から外れたネタが
むしろ大好きなんです。

 

最初に言っておきます。
今日はマニアックです。(笑)

 

では、ぶっちぎって紹介していきま~す♪

 

逆腹式呼吸とは?

まず
腹式呼吸のおさらいをちょこっと。

 

腹式呼吸とは
横隔膜の上下動をメインで使った呼吸で
吸気でお腹が膨らみ
呼気でお腹がへこむ呼吸です。

(photo by AC)

 

安静呼吸の70%は横隔膜で行われており
直立した状態では1回の呼吸で
2/3を負担しているほどです。

(イラスト by AC)赤いのが横隔膜

 

また、胸式呼吸は
胸郭の動きを中心とした呼吸であり
吸気で胸郭が広がり
呼気ではしぼむ呼吸です。

 

では、逆腹式呼吸は?

 

逆腹式呼吸とは
腹式呼吸とは反対の動きをします。

 

吸気でお腹をへこませ
呼気で下腹部が膨らみます。


(イラスト by AC)  吸気


(イラスト by AC)呼気

 

胸式呼吸と似てる風にも感じますが
違うのです。

 

胸式呼吸はお腹があまり動きませんが
逆腹式呼吸はお腹がじわりと動きます。

 

逆腹式呼吸はあまりメジャーではないけれど
武道や太極拳などで用いられる呼吸なんです。

(photo by AC)

 

腹式と胸式、逆腹式と3つの呼吸は
呼吸の方式が変わっても
吸気で横隔膜が下がり
呼気で横隔膜があがることは
基本的には同じなんですよ。

 

呼吸と腹圧

 

腹式呼吸の場合

【腹式呼吸とは?】の回で書きましたが
横隔膜は、インナーユニットと呼ばれる
腹横筋、骨盤底筋、多裂筋と
一緒に動く特徴がありましたね。

(イラスト by AC)ラインは書き加えました。
赤:横隔膜
黄緑:腹横筋
オレンジ:骨盤底筋
青:多裂筋(実際は背側にある)

 

横隔膜が下がる吸気ではお腹が膨らんで
骨盤底筋は下方へ下がる。

 

横隔膜が上がる呼気ではお腹が凹んで
骨盤底筋は上方へ上がる。

 

ここで一つイメージしてみて。

 

お腹が凹む→内臓が圧迫される→腹圧上昇
これイメージわきます?

 

腹横筋て腹巻みたいな筋肉なんです。
腹横筋が収縮すると腹の周径が
小さくなり、内臓は圧迫されます。

 

腹式呼吸の呼気ではお腹が凹む
→腹圧が若干上がる
→横隔膜は反射的にゆるむ
→内臓は横隔膜を押し上げる
→空気が体内から体外へ出る

 

逆に
吸気で横隔膜が収縮して下に下がる
→内臓は下前方に押し出される
→お腹は膨らむ

 

流れとしては、こんな感じです。

 

呼吸は運動なんです。
運動して結果的に、肺ではガス交換が行われる。

 

その呼吸のスターターになるものは
吸気と呼気で微妙に違ってるんですね。

 

内臓がお腹の中で移動する、とかも
めっちゃ面白いですよね~。

 

逆腹式呼吸の場合

では
それが逆腹式呼吸ではどうなるか?

ひとまず、やってみますかね。

 

<逆腹式呼吸をやってみよう♪>
1.最初は仰向けで膝を立てて行ってみましょう。
2.下腹部に片手を、みぞおちあたりにもう片方の手をあてます。
3.自然な呼吸をしておいて。手からお腹の動きを感じとりながら、吸う時にお腹をへこませます。
4.みぞおちにあてている手は、そのまま凹ませたまま、下腹部にあててる手は前方に軽く押し出されることを感じとりながら、息を吐きます。
5.3~4を繰り返します。

 

どうでした!?どんな感じがしました?
ちょっと難しいですよね~。(笑)

 

これ、1回で上手にできなくても
全然大丈夫ですからね。

 

通常の腹式呼吸では
吸気にお腹が膨らむのが
逆腹式呼吸では膨らまない。

 

これは何を意味するでしょう?

 

腹圧をある程度キープしてる
という意味です。

 

そして
逆腹式呼吸の呼気では
上腹部は凹ませ
下腹部が膨らんで
こちらも腹圧をある程度キープしてる感じです。

 

確かにやってみると
腹圧が抜ける瞬間がないような感覚
があります。

 

腹式呼吸は
呼気は吸気筋が緩むだけで行われますが
逆腹式呼吸では
呼気も意図して腹圧をかけています。

 

ネットで検索すると
逆腹式呼吸にはダイエットや
内臓のマッサージなど
様々な効果があるとも書かれていました。

 

逆腹式呼吸
なんか良さげな感じがするでしょう?

 

でも、ちょっと待って!
ストッッップ!

 

逆腹式呼吸は、誰にでも良い呼吸法?

果たしてそうでしょうか?

 

逆腹式呼吸は、先ほども書いたように
主に武道で用いられる呼吸法です。

 

トレーニングをしてきた人が
逆腹式呼吸を行っても
なんの問題も起こりませんが
骨盤底筋の機能が良くない方が
無理して行った場合…

 

呼気で骨盤底筋が下方に大きく下がり
尿失禁など排泄障害になったり
骨盤臓器脱を招く場合もあるんです。

(photo by AC)

 

腹腔というのは簡単に言うと
上の天井が横隔膜
下が骨盤底筋
後ろが背骨と多裂筋
腹側と外側が腹横筋
です。

 

横隔膜の上には胸腔があり
肺や心臓などの臓器があります。

 

一方
骨盤底筋の下には何もなく
さらに、尿道口、膣口、肛門といった
排出口があります。

 

排出口を持たない側壁や腹壁と比べると
骨盤底部はとっても弱いんですね。

 

しかも
人体には重力がかかっています。

 

さらに
妊娠、分娩をした女性は
長期間骨盤底筋への圧が加わっており
筋緊張の低下や筋力低下を起こしている
場合も多くあります。

 

そこへ強い腹圧がかかると
排泄トラベルや骨盤臓器脱を
起こしやすくなる
なんとなく理解できますか?

 

理学療法士として臨床で診てると
意図して逆腹式呼吸にしてるわけではないのに
呼気でお腹が大きく膨らむ方を
見ることがあります。

 

そういった方は
骨盤底筋に下方に圧が加わることを
避けるような姿勢をしていたり
胸式呼吸でそもそも腹部をあまり動かさない
呼吸をしていることもあります。

 

ヨガを教えてると
なかなか骨盤を動かせない生徒さんを
見かけることもあると思うんです。

 

骨盤を動かせば
重力の影響などで骨盤底部への圧が変わります。

 

それを無意識に避ける形で
骨盤を動かさない、という選択を
していたりします。

 

でも
ヨガはクラス程度であれば
過去にどんな既往があって
どんな分娩をしてきたか、までは
全部は聞かずに行うことが多いと思います。

 

一律に生徒さんを同じ方向へ
導こうと教師側がしてしまうと
それは場合によっては危険ですよね。

 

そういう場合、大切になるのは
やっぱり一人一人の生徒さんを
尊重することかな、と思います。

 

また
一人一人の生徒さんが
自分の体を感じとりながら
ヨガをすること。

 

そうすれば
無理なことは避けられるかと思います。

 

呼吸→腹圧→骨盤底筋へと
話が移ってきてしまいましたが
そこはどうしても切り離せない
大切なところなので長々と書きました。

 

あ!!!
先ほどの意図してないのに逆腹式呼吸に
なってしまっている方がいると書きました。

 

こういった方の機能改善には
結構丁寧なエクササイズが必要です。
ベストは理学療法士と一緒に練習することです。

 

でも
お近くにそういった場所がない場合は
難しいですが自分でもエクササイズを
することができます。

 

その方法は
明日9月26日(日)の公式LINEから
方法をこっそりお伝えします!

 

公式LINEの登録は、こちらをクリックしてね。
↓↓↓

骨盤底筋面白いですよね。
私、この辺の話が大好きです。(笑)

 

今日の逆腹式呼吸のことは
この本によく書かれています。

楊進 他 著、太極拳と呼吸の科学、ベースボール・マガジン社、2004年

 

メジャーな方ではないんですが。
興味があったら是非読んでみて下さい。

 

まとめ

今日は、逆腹式呼吸を紹介しました。

吸気でお腹が凹み、呼気で膨らむ逆腹式呼吸は、主に武道の世界で用いられる呼吸法です。

呼吸とお腹の動きは、間に内臓の小さな動きを挟んで効率的に行われています。

骨盤底筋の機能低下のある方が無理に逆腹式呼吸を行おうとすれば、排泄トラブルや骨盤臓器脱となる場合もあるので、行う場合は十分注意して下さいね。

(次回、10月2日のヨガ解剖学はお休みします)

ヨガ解剖学、ネタ募集してま~す。↓↓↓

<募集中>
ヨガ解剖学では、今後扱ってほしい内容を募集しています。お答えできない場合もあるかもしれませんが、できる範囲で回答していこうと思います。気になっている解剖学のことなどあったら、教えてもらえたら嬉しいです。お待ちしています^^

ヨガ解剖学リクエスト

リクエストは公式LINEからでも大丈夫です。是非登録してね♪

<参考文献>
(1)楊進 他 著、太極拳と呼吸の科学、ベースボール・マガジン社、2004年、p56~83
(2)田舎中真由美 著、まゆみんが教える!骨盤底機能、ヒューマン・プレス、2019年、p38~46

<こちらもいかがですか?>
【前屈とハムストリングス①ゆるゆる伸ばす】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.5
【前屈とハムストリングス②筋膜を感じる】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.6
【胸椎の動きは○○とセット】理学療法士が教えるヨガ解剖学.vol11
【胸椎の固さは百害あって一利なし】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.12
【ヨガ教師が動きを観る時のポイント2つ】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.13
【膝が前に出すぎると、なぜいけない?理由を大公開!】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.17
【膝が前に出すぎると、なぜいけない!?理由を大公開!その2】理学療法士が教えるヨガ解剖学vol.18

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
体と心をつなぐヨガセラピスト×理学療法士 

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP